仏教学習日記『法華経講読』(43)


法華経講読(第43回)


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爾時弥勒菩薩.作²是念¹ .今者世尊.現²神変相¹ . 
以² 何因縁¹ .而有² 此瑞¹ 今仏世尊.入² 于三昧¹.
是不可思議.現²稀有事¹.当²以問レ誰.誰能答者.

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爾(そ)の時に弥勒菩薩(みろくぼさつ)是(こ)の念を作(な)さく、
今者(いま)世尊(せそん)、神変(じんぺん)の相(そう)を現(げん)
じたもう.何の因縁を以って此(こ)の瑞(ずい)ある.今(いま)
仏(ほとけ)世尊(せそん)は三昧に入りたまえり.是(こ)の
不可思議(ふかしぎ)に稀有(けう)の事を現(げん)ぜるを、
当(まさ)に以(も)って誰にか問うべき、誰か能(よ)く答えん者
なる.

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仏さまは今、三昧に入られました.三昧というのは、静かに
瞑想した状態のことですから、こんなときに、質問をしても
答えては下さらないだろう.そう思った弥勒菩薩は聴衆の中で
この疑問に答えてくれそうな人はいないかと思います.

先にそれが誰なのかを明かしますと、その疑問に答えてくれた
のは文殊菩薩でした.こうしてこの段は、仏さまが三昧に入った
邪魔をするような質問を避けて、代わりに文殊菩薩が答えると
いう形式をとっています.

天台大師の説明によると、質問する弥勒菩薩も、それに答える
文殊菩薩も、共に疑問を抱いた衆生のために、衆生を代表して
質疑応答をしているので、慈悲心においては共に同等の功徳で
あると指摘されているとのことです.

弥勒菩薩:佛大卒のわしでも、ちょっと分かりにくいから、
            このご臨席のみなさんを代表して文殊菩薩はんに
     聞いてみたろ.

文殊菩薩:ええよ、わしの知ってることやったら、何でも
     聞いてくれても.

このふたり、歴史的事実に換算してみれば、モッガラーナ
サーリプッタに相当する人物のような気がします.
智慧第一のサーリプッタ智慧第一の文殊菩薩というわけです
が、出席者はこの序品のはじめに名前が列挙されていました.

確かに、その中に舎利弗も、目連もいましたが、彼らは、ここ
では本来の人格ではなく、法華経映像を作成するための頭数合
わせのため、出演依頼されていただけのようです.

なにぶん、歴史的事実から500年という時を経てからの制作で
すから、アレンジ、演出は事実とちがってもご容赦ということ
ですね.事実ではないけれど、真実を伝えますからね、と言っ
ているのでしょう.