仏教学習日記『法華経講読』(36)


法華経講読(第36回)

                                   
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下至²阿鼻地獄¹.上至² 阿迦尼吒天¹. 


下(しも)は阿鼻地獄(あびじごく)に至(いた)り、
上(かみ)は 阿迦尼吒天(あかにたてん)に至(いた)る. 


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阿鼻地獄というのは、地獄の中でも、最も下の深いところにある
とされています.阿迦尼吒天は色界(目に見える世界)の最も上に
ある天で、有頂天(色究竟天)とも呼ばれています.
阿鼻地獄の深さですが、一番浅い等活地獄までが地下5万キロ.
つまり、地球の中心までが約6000キロなので、地球の反対側に
突き抜けて、さらに38000キロの上空に、まるで地下のように
みえる世界があるということになります.その地下に黒縄(こく
じょう)地獄、衆合(しゅうごう)地獄、叫喚(きょうかん)地獄、
大叫喚地獄焦熱地獄大焦熱地獄と続きます.各地獄の深さ
は1万由旬(1由旬=約10キロ)ですから、地下75万キロのとこ
ろがこの阿鼻地獄の入口ということになります.月までは38万
キロですから、長い旅になります.
 そういう世界にまで、眉間白毫相の光が照らしたというのです
から並の光ではありません.

天上のほうは、一番低い天上界が下天(げてん)で水面から1万由旬、
つまり10万キロのところにあります.その上が忉利天(とうりてん)
ここには帝釈天がいます.その上の天は夜摩天(やまてん)、須弥山
の頂上から80万キロの上空にあるといいます.それから兜率天(と
そつてん)、その上が楽変化(らくへんげ)天、多化自在天(たけじざ
いてん)、ここまでが欲界.その上は煩悩に振り回されない人たちが
行く天国です.梵天、大梵天はこの世界にあります.その最上階に
あるのが、色究竟天(しきくっきょうてん)で、水面からの距離は

1677億由旬、すなわち1兆6770億キロ.土星までの距離が16億キ
ロなので、その1000倍の距離です.そこまで眉間白毫相からの光は
届いたと言っています.光速は冥王星まででも5時間かかりますので
やはりこの説法場ですべての世界を数分で聴衆のみなさんに見せる
ことは不可能です.
 ここはもののたとえで、「聴衆のみなさん、天国と地獄を想像して
思い浮かべてみてください」と言ったのかもしれません.