仏教学習日記『法華経講読』(13)

 
法華経講読(第13回)


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於² 諸仏所¹.植² 衆徳本¹.

諸仏の所に於て、衆の徳本を植え、

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 仏さまの数ですが、前回は無量百千の諸仏、今回も諸仏と、仏
さまの数は複数形です.ブッダ在世の頃は仏さまは、ゴータマ・
ブッダおひとりだったはずが、500年ほどを経て、その数は星の
数ほど増えました.
——こんなに勝手に増やしてもいいのか?
——いいのでしょう.何しろ、ブッダ在世の頃でも五百羅漢と
言われるように、目覚めた人(=ブッダ)は500人はゆうにいた
わけですから.

     さらにブッダ滅後には、次のような考えが生まれました.
すなわち、たった6年間の修行で、無上正覚を得られるはずは
ない、と.お釈迦様はきっと前世でも、その前の世でも、修行
を積んでおられたのであろう.
  そこで様々な過去仏が発案されました.人間の頭で作られた
まがい物ととらえない方がいいです.何しろ、こうした過去仏は
前世修行、過去修行、遠い遠い過去からの修行を重ねてこられた
仏様の師匠さまだった仏様ですから、敬意をもってお迎えくださ
い.諸仏は人間の想念の産物でありながら、同時に実在したかも
しれないと仮定しても、うまく時空の世の中が回っていくのです.

  過去を歴史的事実だけでとらえるなら、仏様はシャーキャー
族の出のブッダ、後の釈迦牟尼世尊おひとりです.ですが、その
当のお釈迦さまが、在世中、「諸仏」という言葉を何度も口にさ
れていました.お覚りになった内容を、「古道」に譬え、その道
を様々なブッダが通って行ったと弟子たちに語っておられます.

  私たちの日常の中にでも、「あの人、よく出来た人だな、
仏さまだよ.」と思えるような人、ちらほらいるじゃないですか.
そういう人たちも、諸仏と見なして接してみればどうでしょうか.
そうすれば、この段はクリアできそうです.会社の上司によく
できた方がいらして、徳が厚いなあ、と思われる人なら、諸仏
の1名と思って、仕えて諸々の徳の本を植えさせて頂きましょ
う.
  会社務めしていない、という方も、ご両親がいらしゃるで
しょう.仏様がおふたりいますから.何?親は飲んだくれで
尊敬できない?な、な何と!よろしいですか?あなたは、そ
こから生まれたのです.飲んだくれの父のお陰であなたがいる、
ということは、あなたの前世は、あなた自身が飲んだくれだっ
た、あなたは、へべれけに酔っ払って、周囲の人に迷惑をかけ
ていた、今生、飲んだくれの酔いどれを親に持ったあなたは、
過去の罪を滅ぼすための格好の材料が、提供されているのです.
よかったね.
    過去の自分自身だと思って、やさしく接してあげて下さい.
これにて、この段の徳本の植え方講座を終わります.ではまた
次回!